(株)トミーウォーカーのPBW【シルバーレイン】に参加してるキャラクターが書き散らし気味に展開中。
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一歩ずつ踏み出す。
夜の海は昼間の暖かさを含んでまとわり付く。
ドレスが海水を含んで重たくなっていく。
後ろで呼ぶ声が聞こえた。
「――翳っ!!」
腕を掴まれ思わず振り下ろした花束は、彼の頬に傷をつけ水面に散った。
緩んだ手を振り解き、深みへと向かい倒れ込む身体を強く引き寄せられる。
振り解こうともがく頬に衝撃を感じ、じんわりと熱を持ちはじめて漸く、殴られたのだと解った。
「・・・何をするんですかっ!?」
「それは、こちらの台詞だ・・・。
自分が何をやっているか、わかっているのか!?」
私はただ、貴方の届かない所に逝きたいだけだ。
「・・・それがどうした・・・!」
彼の腕に力が籠もる
「だったら、殴るも罵るも好きにすればいい!
こんなところで死んで、何になる!!」
「貴方に乱されることはなくなりますわ!」
私はただ、律のことだけを思って、律の思い出と過ごすことが出来れば良いのに。
それを寂しいなんて、哀しいなんて思いたくない。
「逝かせて、律の所へ・・・!!」
「駄目だ」
けれど貴方の傍は暖かくて、時々座りたくなってしまうから。
「放って置いて!邪魔しないで!!」
「……駄目だ」
その暖かさを覚えてしまう前に、早く、律の所へ・・・。
「離して・・・っ!!!」
「――駄目だッ!!」
私の両腕を掴む、真っ直ぐな視線と、有無を言わさない言葉。
願いは届かず、彼は首を振ってそれを許しはしない。
もう、駄目だ・・・。私はもう、律の所には行けない。
凪の海に涙が融けていった。
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