(株)トミーウォーカーのPBW【シルバーレイン】に参加してるキャラクターが書き散らし気味に展開中。
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昼下がり。
青い空が広がり、白い雲がゆっくりと流れている。
外の熱気は店内まで来ることはなく、静かで涼しい。
休憩と称してアイスコーヒーを用意し、カウンターに背を預ける。
不意についた左肘に、鈍い痛みを感じた。
夏。あの人の横から兄貴の姿が消えて、あの人は残像を追っていた。
秋。影を振り払うことが出来ずに、2人を傍らで見守る事を選んだ。
冬。本心をヴェールで隠したまま、穏やかな時を過ごし。
春。袋小路の舞台に現れた人物に、あの人が目を向けるのをただ見ていた。
死んだ男に義理立てしてその手を掴もうとしないあの人から、影を追い払いたくて。
あの人が選ぶのが俺ではなくても、それでもあの人が素顔のままで笑えるようになればと。
それだけを考えて。
1ヶ月前の学校祭。
煮え切らないあいつらをGTに誘って、思いがけない怪我と、動揺に後悔した。
動きを見せない恋敵をたきつけ、想い人の決意を聞いた。
そして、俺は騎士に剣を折られた。
グラスを額にあて、天井を見上げる。
目蓋の裏。今は遠くなってしまったあの人の残像が、焼きついて消えない。
あの日から動けずに、俺は立ち尽くしている。
悲しみのヴェールと微笑みの仮面を漸く外すことの出来たあの人への祝福と。
その手を取ったのが、俺ではなくアイツだったことへの嫉妬と。
初めから届く想いでなかったとは言え、諦めるとなると踏ん切りがつかない。
朝、目に入った新聞に記されていた月齢は0。
俺もそろそろ歩き出さねばならないだろう。
いつの日かこれで良かったと、何気無く想う為に。
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