[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
何かがずれてるんだけど、何がずれてるのか判らない。
やればやるほどずれていく。
考えれば考えるほどドツボに嵌ってるのが、自分でも解る。
あの日ゴーストタウンに行ったのも、じっとしていられなかったから。
じっとしていては、また思考の沼に嵌ってしまうコトだけははっきりしていた。
ゴーストを潰して行く。
焔を纏わせたハンマーでただ叩く、たたく、タタク・・・。
寄り道はしない。
ただまっすぐに、行き止まりまで。
余計なことは考えない。
最短のルートは身体が知っている。
目の前のゴーストがなんであろうが、関係ない。
ただ潰すだけ・・・。
だから振り下ろしたハンマーを弾かれたのに気づくのが一瞬遅れた。
見上げたゴーストの腕がやけにゆっくり落ちてくるのをただ見てた。
けれど腕は振り下ろされる前に止まり、ゴーストの姿が掻き消える。
静かになった空間に足音と、声が聞こえる。
音に目を向けると、誰かが走りよってくる。
間を置いてそれがテルだと気づいて、いつもどおりの笑顔を向ける。
「さんきゅ・・・どうした?」
「どうしたって・・・その、怪我とか、ない?」
気遣わしげな言葉に大したことはないと答え、手のひらの擦り傷をぺろりと舐める。
テルはそれを叱って他に怪我がないことを確かめると、帰るよと手を差し出す。
そんなに心配される覚えはなくて、手をとらずに先を歩く。
GTを出ても話すことなんか何もなくて。
でも、テルは何か言いたげで。
仕方がないから、通りがかった公園のベンチに座る。
隣に座ったテルは言葉が見つからないような風に黙り込んでいる。
「・・・どうしたのさ?」
「ここのところ、ちょっと元気なかったから・・・心配で」
・・・何かチクチクする。
でもそれがなんなのか全然解らなくて、結局そんなことはないと笑顔を向ける。
テルはそんなわたしの顔をじっとみて、笑ってないように見えると言った。
そんなはずはない。わたしの顔は笑っているはず・・・。
思わず片手で顔を触って確かめる。
「・・・ねえ、空ちゃん。
笑えない時は、無理に笑おうとしなくてもいいんだよ?」
わたしは無理に笑っているのだろうか。
いや、そんなことはないはずだ。
楽しい時は確かに楽しくて笑ってたはずだし、普段だって・・・。
普段・・・?
わたしはなぜいつも笑っているのだろう・・・。
考え込むわたしに、テルは言葉を続ける。
「・・・僕は、そばにいるから」
そう微笑む顔を見てたら、考え込んでることが馬鹿みたいに思えてきて。
頷いた後立ち上がって、テルに向けた笑顔を作る。
いつもどおりの顔をしたテルが差し出した手をとって、わたしたちは並んで帰った。
わたしが笑顔で居る理由なんて、きっと些末なことだ。
テルの言葉に胸の奥がざわついても、気にすることはない。
そう、考える必要はない。今は・・・。