(株)トミーウォーカーのPBW【シルバーレイン】に参加してるキャラクターが書き散らし気味に展開中。
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3月になりました。
この日一緒に卒業するはずだった彼は、卒業生の列にはいませんでした。
律が卒業するはずだった今年の式。でも、そこに彼の姿はありません。
彼がいなくなっても日常が滞ることはないと、見せ付けられたような気がしました。
この日一緒に卒業するはずだった彼は、卒業生の列にはいませんでした。
律が卒業するはずだった今年の式。でも、そこに彼の姿はありません。
彼がいなくなっても日常が滞ることはないと、見せ付けられたような気がしました。
数日後、私は白馬の家に向かった。
作戦で遅れていた月命日のお参りも兼ねて、律の卒業を祝うために預けていた形見を取りに行かなければならない。
義母さまはいつもどおりに私を出迎えて下さって、私はいつもどおりに旋さんの部屋の扉をノックする。
「・・・よろしいですか・・・?」
声をかけ、部屋に入る。
「あら、お客様がいらしたのですか・・・?」
部屋には旋さんと見覚えのない方が居たが、旋さんは気にするでもなく調整の終わったフルートを渡してくれた。
律の愛用していたフルートは、旋さんに磨き上げられ綺麗に光っていた。
ケースを閉じると、旋さんが「挨拶くらいしろ」と傍らの男性に声をかけた。
頬に傷のある黒い瞳の男性は、ばつが悪そうにこちらを向いた。
「渕埼寅靖だ、よろしく」
「こちらこそ挨拶もせずに、失礼致しました・・・
私、翳と申します」
厳しそうな雰囲気にも、優しさのある人だと思った。
ふと時計に目をやるとそろそろ墓に向かわなければならない時間で、暇を告げ部屋を出た。
いつもどおりに途中で花を買い、律のところへ向かう。
いつものように墓を掃除し、花を添え、短い時間を共にすごす。
「今日は、少し趣向を変えてみようと思いますの・・・」
ケースからフルートを取り出す。
いつもならば歌うところだが、今日はこちらの方が良いだろう。
奏でたのは、蛍の光。
高く、低く、少しアレンジをして。小春日和の空に音は吸い込まれていく。
「・・・卒業、おめでとう・・・」
律には届くだろうか・・・。
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