覚醒夢◆01

いきなりの事で、俺はうろたえた。

「ごめんなさい………それと、大好き　さよなら」

織文の名前の着信は、遠のく『起動』の声を残して静かになった。
声は確かに深都貴だったが、一方的に別れを告げられる覚えはない。
何か覚悟を決めたような空気に嫌な感じがして、気は急くが事情が把握できない。

『…「戦闘開始」だ、旋』

深都貴を追う織文から、深都貴が横浜方面の電車に乗ったと言われ、新幹線で京都に向かうんだと直感した。
凶が京都に居る事を確かめつつ、駅に車を走らせる。
助手席に織文を乗せて、凶と電話を繋ぎながら判断材料を集める。
光庭であった事を聴いて、直感は確信になる。
実家からの世話係が代わり、深都貴が我慢したこの2ヶ月は。
ただ、俺が動きあぐねていただけで終わるのか。

『風羽が動いたらしいねん　こっちで、先に見つけるつもりやけど

多分　風羽も京都駅周辺に現れるわ』
「何が何でも先に見つけろ

今風羽に深都貴を渡すわけにいかねえ」

新幹線との追いかけっこ。ゴールは京都駅。
何が何でも勝ってやる。